謎のピラミッド 熊山遺跡『古代守』岡野 進 さん

標高約500mの熊山山上に位置する奈良時代の遺跡。露出した岩盤上に基壇を築き、その上に方形の段を三段に積み重ねた全国に類をみない石積みの遺構。

第二段の四側面の中央には龕(がん)と呼ばれる神仏を祀る区画、第三段は中央部分に竪穴の石室(約2m)が作られていて陶製の筒形の容器が収められ、大石で蓋がしてあった。戒壇説・仏塔説・墳墓説・経塚説・修行台座説がある。

ソグディアナ(現在のタジキスタン共和国)のヴァン仏教遺跡とそっくりだと指摘されている。熊山頂上にあった帝釈山霊仙寺には、唐招提寺を建立した鑑真和上創建の伝承があり、鑑真の随行の弟子・安如宝(第四代和上)がソグド人であることから、当時、熊山の北で勢力を持っていた和気氏、熊山南に勢力を持っていた秦氏の二大勢力の努力で唐招提寺の末寺として霊仙寺が建てられたのではとされる。

また安如宝は空海が東大寺戒壇で受戒した時の師を勤めており、空海とは生涯にわたって親交がある。熊山頂上付近の峰の広域には石積遺跡と言われる元磐座ともとれる自然石を高く積んだ遺跡が33ケ所以上点在(その内5ケ所は磐座を壊して造った石積遺跡)していることから、多くの修験道者が石積遺跡を霊場として集団で修行を重ねていたとも言われている。

熊山遺跡群・調査研究会 岡野 進 さん 岡山県赤磐市奥吉原(熊山山頂)

*2017年8月 謎解き旅の途中「謎のピラミッド」に惹かれて立ち寄った。遺跡の前にいると年配の男性(岡野さん)が声を掛けてきた。熊山遺跡や和気氏のこと、知らないことばかりで興味深く色々と話を伺っていると「ちょっと待ってなさい」と言って隣接する建物へ戻り1冊の手作りの資料「国指定史跡 熊山遺跡(赤磐市教育委員会)」を持ってきてくれて、より詳しく話をお伺いすることができた。 頂いた資料と当時のメモを整理してご紹介します。

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